同じ30枚の注文が「35,918円」にも「55,630円」にも見える
相見積もりが失敗する原因は、業者選びではありません。見積書ごとに「何を含めた数字か」が違うのに、紙面の一番大きな数字だけを表に転記してしまうことです。まず、当社preTTyの自動見積もりエンジンが実際に算出する金額だけを使って、同一の注文がどれだけ違う顔になるかをお見せします。
条件は「Tシャツ30枚・シルクスクリーン普通色1色・胸ワンポイント1箇所・白地924円クラス(当社の白地Tシャツ最安クラス)・東京都へ発送」。この条件の当社実額は1枚1,317円(税込・送料別)、本体合計は39,510円です。
| 見積書の書き方 | 紙面に出る数字 | 中身 |
|---|---|---|
| 税別・本体のみ(送料/特急の記載なし) | 35,918円 | 39,510円÷1.1の税抜相当額 |
| 税込・送料込み | 40,630円 | 本体39,510円+東京都送料1,120円 |
| 税込・送料込み・特急仕上げ | 55,630円 | 上記+特急500円/枚×30枚=15,000円 |
3行とも、届くTシャツは完全に同じ30枚です。それでも一番上と一番下では約1.55倍。タイトルの「3割」はむしろ控えめな想定で、税別表記に特急費が重なるだけで総額は5割以上動きます。さらにプリント方法の条件がズレて、1社だけDTF淡色(+880円/箇所)で見積もっていれば、同じ白地・同じ30枚でも総額は67,030円まで開きます(シルク普通色比+65%)。
裏を返せば、条件さえ固定すれば見積書は正しく比較できるということです。この30枚モデルと同じ条件を入力して、支払総額ベースの基準値を作るところから始めると、以降の作業がすべて「差分の確認」になります。揃えるべき条件は次の7つです。
比較前に揃える7つの条件
① 税込か税別か — 10%は業者間の単価差より大きいことが多い
最初に確認するのはここです。例えば税別1,250円の見積もりは税込に直すと1,375円。当社の30枚実額1,317円(税込)と並べたとき、換算前は「あちらが67円安い」、換算後は「58円高い」で大小が逆転します。比較表には必ず税込換算後の金額だけを記入してください。当社の自動見積もりはすべて税込表示です。
② 送料が総額に入っているか — 「自分の県でいくらか」まで確認する
当社の送料は都道府県別の実額で、送料無料はありません。Tシャツ30枚は120サイズ1箱に収まり、東京都1,120円・大阪府/愛知県1,220円・福岡県1,320円・北海道/宮城県/沖縄県1,420円。10枚なら100サイズ1箱で東京都920円・大阪府/愛知県1,020円・北海道/沖縄県1,220円。逆に100枚になると箱が2つ(160+100サイズ)になり、東京都あてでも2,440円です。他社の見積もりに「送料込み」とだけ書かれていたら、送付先の都道府県を指定した実額へ書き直してもらいましょう。当社の47都道府県ぶんの実額は 送料早見表 にすべて載せています。枚数を増やしたときに送料も段が変わる点は、どの業者でも共通の落とし穴です。
③ 版代・初期費用という費目があるか
当社の見積もりには版代という費目がそもそも存在しません(初回もリピートも同様です)。ただし「版代無料=総額が安い」と短絡しないことが重要です。版が不要なDTFは1枚単価がシルクスクリーンより高く、当社実額でも30枚時にシルク普通色1,317円に対しDTF淡色2,197円。初期費用と1枚単価は比較表で必ず別の列にし、掛け算した総額で判定してください。費目構造そのものの解説はプリント料金の内訳記事に、版代という費目の相場と「版代無料」の読み方は版代の記事に譲ります。
④ サイズ追加料 — 大きいサイズが混ざる注文は明細を見る
当社はXXL+100円・4L+150円・5L+200円(いずれも1枚あたり)。30枚中XXL5枚・4L3枚・5L2枚なら合計+1,350円です。対象サイズと5L対応商品は 大きいサイズの記事 にまとめています。金額は小さくても、サイズ追加の有無や対象サイズの線引きは業者ごとに違うため、依頼文にサイズ内訳まで書いて全社を同条件にしないと、明細の1行だけで順位が入れ替わることがあります。
⑤ 特急費の「実額」と納期の「定義」
当社は標準5〜7営業日、特急仕上げが+500円/枚の定額で3〜4営業日です。30枚なら特急費は15,000円。②で見た送料(東京都1,120円)の10倍以上効く費目なので、急ぎ案件の相見積もりは特急費込みで揃えなければ意味がありません。また一般に、特急費の方式は定額/枚・総額の割増・一式などさまざまで、「営業日」か「暦日」かでも実質の納期が変わります。金額と日数の両方を数字で答えてもらってください。
⑥ データ修正・再入稿の扱い — 見積書の紙面に現れない費目
入稿データの修正が無料か、どの範囲までか、再入稿で納期の起算がリセットされるか。これらは業者ごとに条件が異なるうえ、見積書には通常記載されません。トラブルになりやすいのはロゴの色調整や解像度不足の作り直しです。依頼文の質問項目に含めて、書面で回答をもらっておくのが確実です。
⑦ 最小ロットと割引の構造 — 定率か定額か
当社は10枚から注文でき、自動見積もりは1,000枚まで対応します(それを超える規模は個別相談)。数量割引は「○%OFF」ではなく1枚あたりの定額値引きで、10枚で-100円から始まり1,000枚の-600円で上限に達します。定率の業者と定額の当社を「率」で並べることはできないので、ここでも総額換算が唯一の共通言語です。
もうひとつ、見落とされがちな構造があります。同じ会社の中でも、枚数によって最安の商品が入れ替わることです。当社の場合、値引き額に上限があるため、30枚までは白地924円クラスが最安(30枚時点で1枚1,317円)ですが、40枚では白地1,048円クラスが1,296円で逆転します。枚数を変えて再見積もりするときは、商品(ボディ)の選び直しまで含めて再計算してください。40枚に増やした場合の単価逆転を実際に確かめると、この構造は一目で分かります。
7条件の早見表 — 各社への聞き方と当社の答え
依頼文を書く前のセルフチェックにも、返ってきた見積書の抜け漏れ確認にも、この表をそのまま使えます。
| 条件 | 各社への聞き方 | 当社preTTyの答え(実額) |
|---|---|---|
| ① 税 | 税込の支払総額で回答を | すべて税込表示 |
| ② 送料 | 送付先の県での実額を明記 | 都道府県別実額(例:30枚・東京都1,120円)。送料無料なし |
| ③ 版代・初期費用 | 有無と金額を明記 | 版代という費目が存在しない |
| ④ サイズ追加料 | 対象サイズと1枚あたりの額 | XXL+100円/4L+150円/5L+200円 |
| ⑤ 特急費 | 追加額と納期(営業日か暦日か) | +500円/枚の定額で3〜4営業日(標準5〜7営業日) |
| ⑥ 修正費 | 無料範囲と回数を書面で | 依頼時にLINEでご確認ください |
| ⑦ ロットと割引 | 最小枚数と割引の構造(定率/定額) | 10枚〜1,000枚(超は個別相談)・1枚あたり定額値引き |
そのまま送れる相見積もり依頼文(仕様固定テンプレート)
7条件を1通で固定する依頼文です。全社に同じ文面を送ることが、この記事でいちばん重要な実務です。
「オリジナルTシャツの見積もりをお願いします。条件は次のとおりです。(1)ウェア=綿Tシャツ・白(型番指定がある場合は型番とオンス数) (2)枚数=30枚(サイズ内訳:S5/M10/L10/XL3/XXL2) (3)プリント=シルクスクリーン1色・左胸ワンポイント1箇所 (4)送付先=東京都・1箇所 (5)希望納期=○月○日必着。ご回答には、①税込の支払総額(送料込み) ②版代など初期費用の有無と金額 ③特急対応した場合の追加額と納期 ④XXL以上のサイズ追加料 ⑤データ修正の無料範囲と回数 を明記してください。」
枚数・サイズ内訳・送付先はご自身の案件に置き換えてください。ポイントは、金額を「単価」ではなく税込の支払総額で答えてもらうことと、④〜⑥で見た「紙面に出にくい費目」を質問として書面化してしまうことです。
なお、クーポンやキャンペーンは比較表の外に置きます。割引適用前の総額で各社を揃え、割引は最後に引く。当社に実在するクーポンはLINE友だち追加の500円OFFと、ご紹介割引の1,000円OFF(本体3万円以上が対象)の2種のみで、いずれも送料・特急費を除いた本体価格に適用されます。
返信が届いたら、表に転記する前に次の3手順だけ通します。
- 税別の数字は1.1倍して税込へ換算する(換算前の数字は表に書かない)
- 送料・特急費・サイズ追加料が「金額として」書かれているか確認し、無ければ再質問する
- 比較表の判定に使う欄は「税込の支払総額」の1列だけにする(単価欄は参考値扱い)
条件を揃えても他社が安かったら — 価格保証の出番
当社には、同じウェア・同じプリント条件で他社のほうが安い場合、そのお見積もりをお見せいただければ同額以下でご提供する価格保証があります。条件は2つだけ。①他社見積もりの提示、②同一仕様であること。つまり、この記事のチェックリストとテンプレートで取得した見積書は、そのまま価格保証の提示資料として成立します。窓口はLINEです。
正直にお伝えすると、これは当社が常時他社価格を調査して最安を約束する仕組みではありません。条件の揃った見積書を持ってきていただいて初めて動く、申告ベースの保証です。だからこそ、比較の手間をかけた方ほど得をする設計になっています。
1社目の基準点は自分で作れる
比較表には基準になる列が必要です。物差しとして、当社の枚数別実額(シルクスクリーン普通色1色・胸ワンポイント1箇所・税込・送料別。各枚数でその時点の最安白地クラスを選んだ場合)を置いておきます。
| 枚数 | 1枚あたり実額 | 枚数 | 1枚あたり実額 |
|---|---|---|---|
| 10枚 | 1,422円 | 200枚 | 1,176円 |
| 20枚 | 1,322円 | 300枚 | 1,126円 |
| 30枚 | 1,317円 | 500枚 | 1,086円 |
| 100枚 | 1,236円 | 1,000枚 | 1,046円(値引き上限) |
当社の自動見積もりは、この表と本文中の金額(都道府県別送料・特急+500円/枚・サイズ追加料)をそのまま算出するエンジンで動いています。依頼文を送る前に自分の枚数・プリント方法・送付先で基準列の総額を出しておくと、返ってきた各社の見積書に「どの費目が書かれていないか」が浮かび上がります。
役割分担も明確にしておきます。社内の稟議・請求書払い・経理差戻しといった発注側の段取りは法人発注の実務ガイドが扱っています。本記事が担当するのは、その手前の「見積書の数字を比較可能な状態に揃える」工程だけです。
よくある質問
相見積もりは何社から取ればいいですか?
一般に2〜3社で十分です。条件を固定した依頼文で取れば、社数を増やしても順位はほとんど変わらず、返信対応の手間だけが増えます。社数を稼ぐより、1社ごとに「税込の支払総額」で答えてもらうことに労力を使うほうが比較の精度は上がります。
税別表記の見積もりはどう扱えばいいですか?
1.1倍して税込に換算してから比較表に記入します。例えば税別1,250円は税込1,375円。当社の30枚実額1,317円(税込)と比べると、換算の前後で安い・高いが逆転する水準差です。換算前の数字は表に書かないのが安全です。
「○%OFF」の割引と定額値引きはどちらが得ですか?
構造が違うため、率と額を直接比べることはできません。総額に換算して比較するのが唯一の方法です。当社の数量割引は定率ではなく1枚あたりの定額値引き(10枚で-100円〜1,000枚で-600円が上限)で、見積もり画面には割引適用後の単価が表示されます。
他社の見積もりを見せると安くしてもらえますか?
当社では、同じウェア・同じプリント条件の他社見積もりをご提示いただいた場合に同額以下でご提供する価格保証があります(ご相談はLINEで)。仕様が異なる見積もりは対象外になるため、本記事のテンプレートで条件を固定して取った見積書がいちばん使いやすい提示資料です。
比較表を勝たせるのは単価欄ではない
相見積もりの勝敗は、どの業者を選んだかより先に、条件を揃える作業の丁寧さで決まっています。税込か、送料は自分の県の実額か、特急費は総額に入っているか、割引は総額換算したか。この4問に即答できる比較表なら、どの1社を選んでも「見積書に書かれていなかった費目」に後から驚くことはありません。冒頭の30枚モデルで見たとおり、同じ注文でも見え方は最大5割以上ズレます。ズレを消してから、いちばん小さい総額を選んでください。