手描き感がTシャツに温かみを加える
デジタルフォントでは出せない手描きレタリングの温かみは、Tシャツに個性と親しみやすさを与えます。プロっぽく仕上げるコツと、デジタルツールでの再現方法を解説します。
手描きレタリングのジャンル
- 書家風(筆文字): 墨・筆の強弱
- チョーク調: 黒板のかすれ感
- マーカー調: ポスカやアクリル
- 手書きスクリプト: サインペンの流れ
- カリグラフィー: 欧米式の装飾文字
書家風(筆文字)
楷書はきっちり整った文字、行書は少し崩した動きのある文字、草書は大きく崩した芸術的な文字で、和モダンや日本向けのブランドに向きます。Tシャツにするときに決めておきたいのは、筆のかすれの扱いです。1色で刷る普通色は線やベタ塗りがくっきり出る一方で、微妙な階調表現は苦手な方式なので、墨色1色で刷るなら、かすれを「墨」と「抜け」の2つに分けたデータにしておきます。かすれの濃淡までそのまま残したいなら、白・淡色のボディにフルカラーで刷ります。自分で書かずに筆文字の雰囲気を出したい場合は、preTTy の使用可能フォントにある昭和太行書やHG行書体などの筆文字系を指定する方法もあります。
チョーク調レタリング
黒板のような擦れた質感とにじみで、カフェ・バー・学校のお知らせ風の印象になるスタイルです。Photoshopのテクスチャ合成でも再現できます。黒板らしさを出すなら黒や深い緑のボディに白1色で刷るのが素直で、この場合は普通色の1色で済みます。チョークの粉っぽい濃淡まで出したいときは階調の表現になるため、濃色のボディではDTF(濃色)を選ぶことになり、下の表のとおり1枚の金額が1,100円上がります。使用可能フォントのディスプレイ系には Chalkduster も載っています。
マーカー調レタリング
ポスカやアクリルマーカーの線は、重なりや塗りムラを活かすとストリートアート風になり、グラフィティ要素とも相性が良いスタイルです。塗りムラも濃淡の一種なので、ムラを残すならフルカラーかDTF、ムラを消してベタ塗りにするなら普通色と、刷り方を先に決めてから書くと描き直しが減ります。フォントで近づけるなら、ディスプレイ系の Marker Felt が候補です。
デジタルで手描き感を出す方法
- ブラシ素材を活用
- Procreate・iPad Proでのアナログ的制作
- Photoshopの紙テクスチャ合成
- Illustratorのラフ機能で線を不規則に
手描きに見せるコツ
- 同じ文字でも毎回少し違うように
- 線の太さに揺らぎを作る
- インクのかすれ・にじみを追加
- 完璧な直線・曲線を避ける
手描きレタリングの書き方
- 下書きを鉛筆で
- ペンやマーカーでなぞる
- スキャンまたは撮影
- 画像加工で線をクリーンに
- 入稿データ化
おすすめの道具
- カリグラフィペン
- 細筆・中筆・太筆の筆ペン
- ポスカ(ホワイト・ブラック)
- アクリルマーカー
- iPad + Apple Pencil
活用シーン
- 結婚式のサプライズTシャツ
- カフェ・バーの制服
- クラフトフェアのブランドT
- 個展・作品展のグッズ
- 誕生日プレゼント
和文レタリングの注意点
- 筆のはね・止めを大切に
- 漢字の字画を省略しない
- 文字の間隔・バランス
- 書家に依頼する選択肢もあり
レタリングの種類ごとの刷り方と実額 — 20枚・胸ワンポイント
手描きのレタリングを preTTy の自動見積もりの方式に当てはめると、次のようになります。苦手なことの欄は、印刷方法の比較と入稿データガイドから転記しました。金額は5.6oz スタンダードTシャツ(00085-CVT)を20枚、胸ワンポイント(縦横10cm以内)に刷った場合の1枚あたりです(税込・送料別・2026年9月26日算出)。
| レタリング | 自動見積もりの方式 | 苦手なこと | 1枚あたり |
|---|---|---|---|
| 筆文字・マーカーを1色で | 普通色 | 写真やグラデーション、微妙な階調 | 1,553円 |
| 金や銀で書いたような文字 | 金銀ラメ(小粒) | 細い線や小さい文字は潰れやすい | 1,773円 |
| 太いブロック文字をギラッと | ラメ(大粒) | 細い線・細かい文字は再現できない | 1,883円 |
| かすれやにじみを濃淡ごと(白・淡色ボディ) | フルカラー | 濃色の生地では色がくすむ | 1,883円 |
| かすれやにじみを濃淡ごと(黒板のような黒ボディ) | DTF(濃色) | 大面積は膜感が目立ちやすい | 2,653円 |
| サインやロゴを糸で | 刺繍ワンポイント | 細い線(1mm以下)は糸で潰れる可能性。グラデーション不可 | 2,333円 |
20枚は100サイズの箱1つに収まり、東京都あての送料は920円です。表の6つのうち、金銀ラメ・大粒ラメ・刺繍の3つは細い線を苦手とします。手描きのレタリングは筆の入りや抜きで線が細くなるところが多いので、キラキラさせたい、糸で縫いたいという場合は、細いところを太めに書き直してから入稿してください。
線の太さは、描いた大きさと刷る大きさの比でも変わります。横200mmで書いたロゴを胸ワンポイント(縦横10cm以内)に収めると0.5倍になり、2mmの線は1mmになります。A4の紙いっぱい(縦297mm)に書いた文字を縦10cmに縮めると約0.34倍で、3mmの線でも約1mmです。細い筆ペンで書いた文字をワンポイントに使うなら、縮めたあとの太さを先に計算し、足りなければ太いペンで書き直すか、入稿データガイドで「細い線や小さい文字も比較的きれいに再現可能」とされているDTFで刷ります(白・淡色ボディならDTF淡色で1ヶ所+880円)。刺繍は他の方式より納期がかかる点も、印刷方法の比較に書かれています。
配色のセオリー
手描き感は単色プリントが基本で、黒・紺・墨色が最も馴染みます。どの色でも、ボディの色とのコントラストが低いと、かすれた部分から先に見えなくなります。普通色は淡色・濃色どちらのボディにも刷れるので、白いボディに墨色、黒いボディに白という明暗のはっきりした組み合わせから選ぶと失敗が少なくなります。