この記事で分かること — A-03 との役割分担
この記事は、高校の部活顧問が初めて部Tシャツを作る 相談を受けたときに、preTTy が確認した学校案件ならではの論点を公開する advisory-log 型の2本目です。
同じ「相談ログ」でも読者層と目的が違います:
- A-03 カフェ開業5枚の相談ログ — 小規模事業者の相談不安を下げる 記事
- この記事(A-08) — 学校・部活で顧問や代表者が何を先に整理すると進めやすいか を見せる記事
「注文の仕方」を教える記事ではなく、確認漏れを防ぐための整理軸 を提供するのが狙いです。部費決裁・校則・承認フローなど、小規模事業者の相談とはまったく別軸の論点を扱います。
部活顧問からの相談スタート地点
最初に届いたメッセージはこんな内容でした(匿名化):
「はじめまして、都内の高校で吹奏楽部の顧問をしています。今年の夏のコンクールに向けて、初めて部Tシャツを作ろうという話が部員から出ました。部員数は30名、予算は1人2,000円くらいで、7月の本番までに揃えたいです。私自身こういう注文が初めてで、どこまで私が決めて、どこから生徒に任せていいのかも含めて相談したいです」
決まっていたのは次の4点だけです:
- 部員数 30名(つまり30枚前後)
- 予算感 1人 2,000円
- 用途 夏のコンクール(7月本番)
- 顧問として「どこまで関わるか」を迷っている
未確定は校則・校章使用可否・予算の決裁ルート・サイズ集計の方法・承認経路・追加発注の運用など、学校案件に特有の論点でした。ここから6つの質問で論点を整理しました。
preTTy が確認した6つの質問と、その理由
Q1: 校則や学校のデザイン規定はありますか?
なぜ聞くか: 学校によっては、デザインに対して「肌に密着しすぎる形は不可」「特定色(赤・黒)は制服ルールに合わない」「外部キャラクター使用不可」など規定があります。これを事前に確認しないと、仕上がってから着用NG になる最悪ケースがあります。校章やロゴの使用にも別途許可が必要なことが多いです。
答え: 「明確な規定はないですが、校章を使う場合は校長の許可が必要です」
この答えで整理できたこと: 校章使用は承認フローに1〜2週間のリードタイムがかかる。今回は納期逆算を考えると、校章は使わず文字中心のデザイン にして承認経路を短くする方針で提案。
Q2: 予算の決裁ルートと集金方法
なぜ聞くか: 個人負担・部費・PTA補助・学校予算のどれで支払うかで、見積書の宛名・支払いタイミング・書類要件 が変わります。個人集金ならPayPay・現金の選択肢、PTAや学校経由なら銀行振込と正式な見積書が必要なことが多い。混在ケース(部費+個人)も事前整理が必要です。
答え: 「部費から500円、残り1,500円は個人負担。集金は PayPay でやる予定です」
この答えで整理できたこと: 混在型なので、見積書は 部宛て(500円分) と 個人合算(1,500円×30名) の2系統で出す。顧問側の経理処理が1枚の請求書で済むように調整可能。
Q3: 部員数とサイズのばらつき
なぜ聞くか: 高校は学年差でサイズ幅が広くなりがちです。3年生と1年生で体格が3〜4段階違うことも。女子部員が多い場合はレディースサイズ対応の要否も確認する必要があります。サイズ幅を過小に見積もると、生徒がきつく着る羽目になります。
答え: 「30名で、S〜XL まで広く必要。女子部員も多いです」
この答えで整理できたこと: レディース対応のある商品を第一候補に。サイズ集計は 生徒幹事(部長・副部長)にGoogleフォームを作って実施してもらう 提案。顧問は結果の確認のみで済むようにフロー化。
Q4: 大会や納期の固定日と、逆算の余裕度
なぜ聞くか: 「7月のコンクール」と一口に言っても、本番日で逆算するか、練習合宿で着たいか、前日リハで着ておきたいかで納期目標が違います。余裕日数を1週間見込むか、前倒しして3週間見込むかで発注タイミングも違います。
答え: 「本番は7月12日、練習合宿が6月下旬なのでできれば6月中旬には届いて欲しいです」
この答えで整理できたこと: 6月中旬納品なら、5月末入稿・6月初旬製作開始。5月中旬までに部内デザイン決定 が現実的なマイルストーン。後述の進行スケジュールに反映。
Q5: デザインの最終承認は誰が持ちますか?
なぜ聞くか: 顧問が持つのか、部長が持つのか、校長許可が必要なのかで進行速度が変わります。承認者が増えるほど 承認期間を見込む必要 があり、小さな修正でも「もう一度校長確認」が発生すると、数日単位で遅れます。
答え: 「部員で案を出して決めたいです。校章を使う場合だけ校長許可、それ以外は部内決定でOKです」
この答えで整理できたこと: 校章を外すことで、承認フローは部内完結(顧問+生徒)。校長承認を省略できるため、納期に1〜2週間の余裕が生まれる。デザイン修正のリードタイムも最小化。
Q6: 新入部員や追加注文の想定
なぜ聞くか: 部活は毎年新入部員が入ります。来春以降も追加発注があるなら、版を作る方式(シルクスクリーン) を選んでおくと単価が大きく下がります。追加予定がなければ DTF で十分。この質問を飛ばすと、長期コスト最適化の機会を逃します。
答え: 「毎年新入部員が入るので、来春以降も追加で作りたいです」
この答えで整理できたこと: シルクスクリーンで版を作成・保管。翌年以降の追加発注は 版代なしで5〜10枚からでも単価が上がらない。来春の新入部員対応がスムーズに。
学校案件で詰まりやすいポイント
学校特有の進行詰まりを事前に知っておくと、顧問として避けやすくなります。
- 校章使用の承認待ち — 校長が多忙で1〜2週間遅延するケース。デザインを決めてからではなく、校章を使うかどうかを最初に判断 するのが正解
- 集金タイミングのばらつき — 部員から期日までに全員分集まらず入稿できない。PayPay等で期日リマインドを3日前・前日に出す と回収率が上がる
- サイズ集計の回答漏れ — Googleフォームで集計しても数名未回答のまま。集計を生徒幹事(部長・副部長)に任せる と、同学年内での催促が効きやすい
- デザイン案と校則の不一致 — 部員が選んだデザインが後で校則に引っかかる。デザイン投票の 前に 顧問が校則チェック項目を共有
- 追加発注時期の見落とし — 新入生が入部してから急ぎで追加発注、納期ギリギリになる。4月の入部直後に追加枚数を発注者に確認する習慣 を付ける
- 学年色分けでの発注複雑化 — 「3年は赤、2年は青」のような色分けは製造側の都合で枚数計算が複雑に。可能なら単色展開で統一
顧問が先に決めること / 生徒に任せてよいこと
相談の中で明確化した「顧問マター」と「生徒マター」の仕分けです。
顧問が先に決めること
- 校則・校章使用の可否(学校との調整)
- 予算の決裁ルート(部費・個人・PTA・学校予算)
- 納期の設定(大会日から逆算した余裕日数)
- 見積書の宛名(個人・PTA・部・学校)
- 追加発注の方針(来年度以降の運用)
- 色分け・学年分けの要否(運営複雑度に影響)
生徒に任せてよいこと
- デザイン案の提案と投票
- 色・文字・イラストの選定(校則範囲内で)
- サイズ集計(Googleフォーム作成〜集計)
- 集金のリマインドと回収
- 当日の配布・サイズ仕分け
顧問と生徒で一緒に決めること
- 最終デザインの決定(校則チェックを顧問が、審美判断を生徒が)
- 予備枚数の見積もり(部員数+予備2〜3枚が標準)
- 着用ルール(練習時のみ・本番のみ・日常着用可)
- 卒業生分の扱い(OB販売 / 無償供与 / 返却)
相談スタート時に固まっていなくてよいこと
顧問として「これが決まっていないから相談できない」と感じる必要はない項目です。
- 具体的なサイズ内訳(後日生徒集計でOK)
- デザインの細部(相談中に方針合意、その後部内投票)
- 予備枚数(経験則で2〜3枚、あとで調整可能)
- 校章使用の最終決定(Q1 の時点で議論を開始できれば OK)
- 個人負担額の厳密計算(枚数確定後に再計算可能)
一方、大会や本番の日付 だけは最初に固定してください。これが逆算工程の起点なので、未定だと他が動けません。
迷ったら — 相談導線
初めて部Tを作る顧問が一番伝えたいと思ったのは、「整理の仕方から一緒に考えられる」 ことです。決まっていることと決まっていないことを仕分けるところから、preTTy が並走します。
- LINEで相談 — 部員数・大会日・予算感・校則の有無 を送ってもらえればまず質問を返します
- 商品一覧 — ウェア候補を先に見ておきたい場合(レディース・ジュニアサイズの確認も)
- 自動見積もり — 構成が固まったら数秒で試算
- クラスTシャツ完全ガイド — クラス/部活の基本的な進め方を知りたい場合
学校案件は 「決めること」と「決めなくていいこと」の仕分けが成果の8割 です。顧問として整理さえできれば、生徒に任せる部分は大きく、顧問の負担は最小化できます。