方式選びを「損得計算」から始めない
プリント方法の解説は「30枚以上なら版代がペイするのでシルクスクリーン」「少量なら版代不要のDTF」といった損益分岐の話から始まるのが定番です。ただ、それは版代という初期費用を請求する料金体系での考え方です。preTTyの自動見積もりには版代という費目がそもそも存在せず、方式ごとの追加料金は枚数に関係なく1ヶ所あたりの定額。つまり「何枚だからどの方式」という分岐そのものが発生しません。
この記事では、損益分岐の計算を捨てて「デザインで何を表現したいか」から方式を逆引きする手順を説明します。シルクスクリーンやDTFの技術的な仕組みを横並びで知りたい方は、先にプリント方法5種類の比較を読んでください。
前提になる3つの事実
- 版代という費目がない。初回もリピートも、色数が増えても、版の料金は発生しません(「リピートだと版代が無料になる」のではなく、最初からこの費目自体がありません)。
- 方式の追加料金は1ヶ所あたりの定額。普通色(単色)は0円、フルカラー+330円、刺繍ワンポイント+780円、DTF淡色+880円、DTF濃色+1,100円。10枚でも1,000枚でも、1枚あたりのこの金額は同じです。
- 納期は方式で変わらない。どの方式も標準5〜7営業日、特急仕上げ(+500円/枚)で3〜4営業日です。「版を作る方式は日数がかかる」「転写なら早い」という一般論は、ここでは判断材料になりません。
この3点がそろうと、方式選択の決定要因はデザインの表現要件ただ1つに絞られます。
自動見積もりで選べる方式と追加料金
見積もり画面の方式メニューは次の8つ。追加料金はすべて「1ヶ所あたり」です。
| 方式 | 追加料金(1ヶ所あたり) | 向いている表現 |
|---|---|---|
| おすすめ(おまかせ) | 0円のまま概算(方式は注文後のデザイン相談で提案) | 方式を決めきれないとき |
| 普通色(単色のみ) | 0円 | 単色のロゴ・文字・シルエット |
| 金銀ラメ(小粒) | +220円 | さりげないラメ仕上げ |
| ラメ(大粒) | +330円 | 存在感のあるラメ演出 |
| フルカラー | +330円 | 写真・グラデーション・多色 |
| DTF転写(淡色ボディ向け) | +880円 | 淡色生地への高発色フルカラー |
| DTF転写(濃色ボディ向け) | +1,100円 | 黒・ネイビー等へのくっきりした多色プリント |
| 刺繍ワンポイント | +780円 | 立体感・高級感(複雑ではないロゴ) |
表現要件から方式を逆引きする
単色で成立するデザイン → 普通色(追加0円)
チーム名・ロゴ・文字・単色イラストなど1色で表現できるデザインなら、普通色一択です。追加料金0円なのでメニュー内ではもっとも安く、10枚でも1,000枚でも、どの枚数帯でもこの順位は動きません。「予算のために泣く泣く単色」ではなく、単色で成立するデザインならそれが最適解です。
写真・グラデーション・多色 × 白や淡色のウェア → フルカラー(+330円)またはDTF淡色(+880円)
多色デザインは、載せる生地の濃淡で候補が分かれます。白・ライトグレーなどの淡色ボディなら、まずフルカラー(+330円/ヶ所)。転写ならではの高発色を狙いたいデザインではDTF淡色(+880円/ヶ所)が候補になります。どちらが合うか判断がつかなければ、後述の「おまかせ」でデザイナーに委ねるのが確実です。
写真・多色 × 黒・ネイビーなど濃色のウェア → DTF濃色(+1,100円)
濃色の生地に明るい色や写真を載せるならDTF濃色です。追加料金は1,100円/ヶ所で、濃色ボディでも輪郭のはっきりした仕上がりになります。なお「濃色ウェアに単色プリント」であれば、見積もり上は普通色(0円)のまま進められます。
糸の立体感・高級感 → 刺繍ワンポイント(+780円)
企業ポロシャツやキャップのロゴなど、プリントではなく糸の立体感で見せたい場合の選択肢です。対象は複雑ではないワンポイントに限られ、写真やグラデーションは刺繍では再現できません。線の細かいロゴは可否が分かれるため、デザインを添えてLINEで先に確認すると手戻りがありません。
きらめきの演出 → 金銀ラメ小粒(+220円)/ラメ大粒(+330円)
ステージ衣装やイベントTシャツでラメを足したい場合の専用枠です。さりげなく光らせるなら小粒、遠目にも分かる存在感なら大粒を選びます。
決め手に欠ける → おすすめ・おまかせ(追加料金0円のまま概算)
方式を確定しないまま、追加料金0円のまま概算を出して注文まで進められる経路です。仕上げ方式は注文後のデザイン相談で、専属デザイナーがウェアとデザインに合ったものを提案します。
実額で並べる — 30枚・胸ワンポイント1ヶ所の1枚あたり
白地Tシャツ・胸ワンポイント1ヶ所・30枚(税込・送料別)の条件で、方式だけを入れ替えた1枚あたりの実額です。差額は上の追加料金表がそのまま反映されます。
| 方式 | 30枚時の1枚あたり |
|---|---|
| 普通色(単色) | 1,317円 |
| 金銀ラメ(小粒) | 1,537円 |
| フルカラー | 1,647円 |
| ラメ(大粒) | 1,647円 |
| 刺繍ワンポイント | 2,097円 |
| DTF転写(淡色) | 2,197円 |
| DTF転写(濃色) | 2,417円 |
単色で成立するデザインを普通色に寄せると、DTF濃色との差は1枚あたり1,100円、30枚なら合計33,000円。表現要件を1段シンプルにできないか検討する価値は十分あります。自分のデザインを30枚×方式別で試算すると、ウェア・箇所・サイズ込みの実額がその場で出ます。
枚数が動かすのは方式ではなく割引の段
枚数を増やしても選ぶべき方式は変わりません。変わるのは1枚あたりの数量割引です。割引は「◯%OFF」の定率ではなく1枚あたりの定額で、普通色1色・胸ワンポイント1ヶ所・白地Tシャツの基準では次のように下がります。
| 枚数 | 1枚あたり(税込・送料別) |
|---|---|
| 10枚 | 1,422円 |
| 20枚 | 1,322円 |
| 30枚 | 1,317円 |
| 100枚 | 1,236円 |
| 200枚 | 1,176円 |
| 300枚 | 1,126円 |
| 500枚 | 1,086円 |
| 1,000枚 | 1,046円(割引はここで打ち止め) |
最小ロットは10枚で、1〜9枚の注文経路はありません。自動見積もりの上限は1,000枚、それを超える案件は大口発注からの個別相談になります。自分の枚数で単価がどの段に乗るか確かめると、方式の追加料金込みで比較できます。
メニューにない方式を希望する場合
昇華転写(ポリエステル生地への全面プリント)、DTG(インクジェット直接印刷)、カッティングシート(背番号・個別ネーム)は、自動見積もりのメニューにはありません。ユニフォームの全面グラフィックや1枚ずつ違う背番号など、これらの方式を想定した要望は、デザイン内容を添えてLINEで送ってください。メニュー内の方式で代替できるか、別の実現方法があるかを含めて個別に案内します。方式ごとの技術的な違いを先に押さえたい場合はプリント方法5種類の比較が参考になります。
よくある質問
シルクスクリーンという選択肢はメニューにないのですか?
自動見積もりの方式メニューは「普通色(単色)・ラメ・フルカラー・DTF淡色/濃色・刺繍ワンポイント」という表現ベースの区分で提示しています。単色ロゴをプリントしたい場合に方式名を指定する必要はなく、普通色(追加0円)を選べば足ります。版代という費目もないため、「版代がペイする枚数か」を気にする必要もありません。一般的な方式名との対応関係はプリント方法5種類の比較で解説しています。
濃色Tシャツに単色プリントする場合もDTF濃色が必要ですか?
単色で表現できるデザインであれば、見積もり上は生地色を問わず普通色(追加0円)で進められます。DTF濃色(+1,100円/ヶ所)が活きるのは、濃色生地に写真・多色・グラデーションを載せる場合です。仕上がりに不安がある組み合わせは、注文後のデザイン相談で調整できます。
プリント箇所を2ヶ所に増やすと方式の追加料金はどうなりますか?
方式の追加料金は1ヶ所あたりの定額なので、箇所数分かかります。たとえばフルカラー2ヶ所なら+330円×2=+660円/枚です。このほか箇所ごとの位置・サイズに応じた料金も単価に含めて自動計算されるため、正確な金額は自動見積もりで実際に箇所を選んで確認してください。
方式によって納期は変わりますか?
変わりません。どの方式でも標準5〜7営業日、特急仕上げ(+500円/枚)を付けると3〜4営業日です。納期を理由に方式を変える必要はないので、表現要件だけで決めて問題ありません。
まとめ — 捨てていい計算と、残る1つの問い
版代のある料金体系では「枚数×色数×版代」の損益分岐が方式選びの中心でした。preTTyではその計算ごと不要になり、残る問いは「このデザインは単色で成立するか、多色か、立体か」だけです。単色なら普通色0円、多色なら生地の濃淡でフルカラーかDTFを選び、立体感なら刺繍。枚数は割引の段を、特急は納期を動かすだけで、方式の答えは変えません。表現要件が1つに決まった時点で、この記事の役目は終わりです。